Callibes

ジャン=ポール・サルトル『嘔吐』の読書録

まず小説として読んだ所感としては、何を面白いと感じるかは人それぞれだが、少なくとも私は面白い、興味深いとは感じなかった。日記という体裁や長い分析的な文章には、共感が薄い、理解や考えのまとまりを獲得す...

伊集院静『機関車先生』の読書録

言葉の話せない青年が親のゆかりの島で教鞭をとることになり、島の人々と絆を築いていく物語。タイトルの「機関車先生」は「口をきかん先生」の意味と教室に飾られた機関車の写真から子供が連想した青年のあだ名。...

ロバート・A・ハインライン『月は無慈悲な夜の女王』の読書録

〝自由意志〟に〝目覚めた〟計算機「マイク」と協力し、「月世界人」である主人公とその仲間たちが地球人からの独立を目指す、という物語です。 なぜ独立する必要があったかというと、簡単に言えば食料問題です。...

アーサー・C・クラーク『幼年期の終わり』の読書録

ある日突然現れた宇宙人と人類との何世紀にも渡る交流と人類の帰着、というのがこの小説のあらすじです。 存在論的な視点で楽しめるSF小説の一つです。とはいえ小難しい抽象的な話は大してありません。 読み終...

筒井康隆『旅のラゴス』の読書録

タイトルにある通り、ラゴスという男が世界を旅する物語。ラゴスの視点で綴られる放浪記・人情譚といったところでしょうか。 本書は連載をまとめた体裁のため、いくつかのエピソードに分かれている短編集に近いで...